なぜ今、私はベトナムで不動産を買いたいのか
ホーチミン市に住み始めて5年。2026年9月にはホーチミン市人文社会科学大学のベトナム学部を卒業する予定です。この5年間、現地の空気を感じながら生活してきましたが、大学卒業を一つの節目として、いよいよベトナムでの不動産購入を本気で考え始めました。
特に注目しているのは、開港に向けた動きが加速しているロンタイン国際空港周辺のエリアです。将来的に人材派遣業や宿泊業への展開を視野に入れている私にとって、この新空港近隣に拠点を構えることは、単なる住居の確保以上の意味を持ちます。経済成長の熱量を肌で感じるこの国で、一人の日本人としてどのように資産を築き、ビジネスに繋げていけるのか。その第一歩としての挑戦を、この連載で記録していきたいと思います。
そもそも「日本人」はベトナムで不動産を買えるのか?
「外国人がベトナムで物件を買えるのか?」という疑問ですが、結論から言えば、特定の条件下で可能です。2015年の改正住宅法以降、観光ビザを含む正当な入国資格を持つ外国人であれば、マンション(コンドミニアム)などの区分所有が認められています。
ただし、外国人の戸建て(一軒家)購入については、現実的にはほぼ不可能に近いのが現状です。ベトナムでは土地は「国家の所有物」とされており、個人は「土地使用権」を持つ形になりますが、外国人の個人がこの土地使用権を直接取得することは認められていないからです。

ノービザ・Eビザでの入国でもいいの?
「正当な入国資格」の正体
ベトナムの法律が求めているのは、「長期滞在ビザ(労働・投資など)」の保有ではなく、あくまで「法的に有効な入国プロセスを経て、国内に存在していること」です。
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ノービザ・EビザでもOK: 日本人の場合、現在は45日間(以前は15日間)のビザ免除入国が可能ですが、この際パスポートに押される「入国スタンプ(Entry Stamp)」が、不動産売買契約を結ぶための立派な証明書になります。
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絶対条件は「有効なパスポート」と「スタンプ」: 契約時や所有権証明書(ピンクブック)の申請時に、入国管理局が発行した有効な入国スタンプがあることが必須です。
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外交特権がないこと: 外交官や領事館関係者など、外交特権(免責特権)を持っている人は、逆にこの一般枠での購入が認められていません。「普通の外国人」であることが条件です。
また、いくつかの重要な制限があります。まず、一つの物件(棟)に対して外国人が所有できるのは総戸数の30%までという枠があること。また、土地そのものを所有することはできず、あくまで「50年間の長期使用権(更新可)」という形になります。2024年の新土地法施行以降も、外国人の個人による土地所有権の取得は依然として認められていません。私が狙っているロンタイン空港周辺のプロジェクト物件が、外資への販売枠(Foreign Quota)を維持するか、そして将来的な出口戦略として転売がスムーズに行える条件かを見極めることが、最初の大きなハードルとなります。

外国人には売らないよ!っていうマンションもあるの?
「法的制限」と「デベロッパーの販売戦略」の壁
1. 「30%ルール」の壁(法的制限)
ベトナムの法律では、1棟のマンションにつき外国人が所有できるのは総戸数の30%までと決まっています。
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完売済みケース: 人気物件や立地の良い物件は、この「30%の外資枠(Foreign Quota)」が真っ先に埋まります。枠が埋まった後は、ベトナム人しか買えません。
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中古物件の注意点: 中古で買う場合も、「前オーナーが外国人」である物件を探さなければなりません。ベトナム人オーナーから外国人が買うことは、原則として認められていないからです。
2. 「国防・安全保障上の制限エリア」
マンションの場所によっては、「ここは外国人に売ってはいけないエリア」と政府から指定されている場合があります。
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軍事施設の近くや、国境・沿岸部などの戦略的に重要な場所にあるプロジェクトは、ベトナム人限定(Local Quotaのみ)で販売されます。
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これを知らずに「安いし綺麗だから買おう!」と思っても、外国人には権利書(ピンクブック)が発行されないリスクがあります。
3. デベロッパーの「めんどくさい」事情
実はこれが意外と多いのですが、小規模なデベロッパーや地方の物件だと、「外国人向けの販売手続きが煩雑なので、最初からベトナム人にしか売らない」というスタンスのところもあります。
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外国人への販売には、政府への報告や特別な書類作成が必要です。
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「ベトナム人だけで完売するなら、わざわざ手間のかかる外国人に売る必要はない」という経営判断ですね。
最初の一歩、信頼できるパートナーの見つけ方
では、具体的に何から始めればいいのでしょうか。まずは物件情報の収集と並行して、信頼できる仲介業者や相談相手を見つけることが最優先事項です。ベトナムの不動産市場は情報の透明性がまだ低く、提示される価格や条件が妥当かどうかを判断するのは容易ではありません。
幸いなことに、私には不動産関係の仕事に就いているベトナム人の友人がいます。現地のリアルな市況や法的な落とし穴について、いつでも相談できる強力なパートナーがいることは、この大きな挑戦において何よりの安心材料です。彼らの助言を得ながら、まずは「外国人枠」の有無や、プロジェクトの信頼性を精査していくつもりです。
次回は、具体的なステップとして、「資金と送金手段」について深掘りしていきます。
不動産購入時に知っておきたいベトナム語
1. Căn hộ / Chung cư
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意味: マンション / コンドミニアム
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解説: ベトナムで不動産を探す際に最も目にする単語です。「Căn hộ」は一戸単位の「部屋」を指すことが多く、「Chung cư」は「集合住宅(ビル全体)」を指すニュアンスが強いです。検索する際はまずこのワードから始まります。
2. Sổ hồng
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意味: ピンクブック(不動産所有権証明書)
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解説: 本文にも出てきた最重要単語。表紙がピンク色をしているためこう呼ばれます。これがない物件は「法的に未完成」か「違法」の可能性があるため、購入時に「Có sổ hồng chưa?(ピンクブックはありますか?)」と聞くのは鉄板です。
3. Suất người nước ngoài
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意味: 外国人枠(Foreign Quota)
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解説: 直訳すると「外国人の枠」。例の30%ルールのことです。エージェントに「この物件に Suất người nước ngoài は残っていますか?」と確認することで、無駄な交渉を避けられます。
4. Hợp đồng mua bán
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意味: 売買契約書(通称:HĐMB)
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解説: ピンクブックが発行される前の新築物件などで、所有権を証明する唯一の公的な書類です。中古物件を検討する際も「HĐMBはあるか?」が信頼性の基準になります。
5. Giá gốc
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意味: 原価 / デベロッパー公式価格
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解説: デベロッパーが最初に提示する公式価格のことです。仲介業者がマージンを乗せていないか、あるいは「Giá gốc より安い(=オーナーが投げ売りしている)」のかを判断する基準となる重要な言葉です。
まとめ
☑︎ 日本人(外国人)でもマンションなら購入可能
☑︎ ただし「所有」ではなく「50年間の使用権」に近い形
☑︎ 外国人による「土地(一軒家)」の購入は、現状ほぼ不可能
ベトナムでの不動産購入は、ルールを知るほど「知識と経験」が最大の武器になると痛感します。しかし、「Sổ hồng(ピンクブック)」や「Suất người nước ngoài(外国人枠)」といった生きたワードを使いこなせれば、チャンスは一気に広がります。
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