ベトナム大好きコラム #16「ベトナム人彼氏の帰国をきっかけに、ベトナム移住を決意」
当センターの受講者様に、ベトナム語をはじめたきっかけをインタビューさせてもらいました。大変興味深い内容でしたので、ご本人の了承を得て、シェアさせていただきます。
Bluedでの出会いから、人生の転機へ
2023年、ゲイ専用の出会い系アプリ「Blued(現:HeeSay)」で、「Nさん」(38歳)は、一人の若いベトナム人男性「アインさん(24歳)」との出会いました。当時、アインさんは、ホーチミン市経済大学を卒業後、日本の静岡県浜松市にあるIT企業で働きはじめたばかりの社会人でした。Nさんは、アインさんのことを「小柄で、メガネをかけていて、八重歯がとても可愛らしい人だな」と思ったそうです。
最初は軽い気持ちで始まった関係でしたが、アインさんの明るく前向きで、勤勉だけどちょっとアニメオタクな性格、そして「日本での生活を全力で楽しもうとする姿勢」にNさんは次第に惹かれていきました。14の歳の差を超えて、二人の間には深い信頼関係が築かれていきました。
テトで実感した“もう一つの家族”
2025年2月のテト(ベトナムの旧正月)に合わせて、アインさんの故郷アンザン(An Giang)省の実家へNさんも一緒に帰省しました。アインさんは、姉・兄・兄・姉・アインさんの5人兄弟の末っ子です。両親は共に58歳で、最初は緊張していたNさんでしたが、家族はまるで昔からの親戚のように温かく迎えてくれたといいます。
「アインがベトナム語を日本語に通訳してくれましたが、アインの家族とは言葉が通じなくても、雰囲気と笑い声で何か伝わるものがあったんです。あの時、ベトナムでの生活も悪くないかもなって思いました。でも、スイカとご飯を一緒に食べる食習慣だけは、受け入れられませんでしたね」
帰国の知らせとすれ違い、そして新しい一歩
しかし、その数ヶ月後の2025年5月、アインさんから「年内にベトナムへ帰国する」と告げられます。理由は2つあり、一つは、日本での生活に精神的な疲れを感じていたこと。もう一つは、「ITの仕事はベトナムでもできる」と思ったからだそうです。
Nさんも同じくIT企業で働いていたため、その理由には一定の理解を示しつつも、帰国を一人で決めたアインさんに対して強く反発してしまいます。しばらくの冷却期間を経て、二人で話し合いを重ねました。その中で二人は、「お互い一緒にいる時間が自分にとっての幸せである」と再確認しました。
そして、Nさんの出した答えは ——「自分もベトナムに行く」ことでした。
初めは、戸惑っている様子のアインさんでした。しかし、それを聞いたアインさんからの第一声は「めっちゃ楽しそう!」だったそうです。
新しい生活に向けて、私は今
Nさんは現在、当センターでベトナム語の南部弁の勉強を始めました。ホーチミン市での新しい生活に向けて、ゆっくりと着実に準備を進めています。
「アインとの出会いをきっかけにベトナムの文化や言語を学ぶことになって、自分の世界が広がった気がします。あと、いろいろなプレッシャーから解放された気がします。僕の家庭は、少し複雑なものですから…。もちろん、金銭面や就労ビザなどの不安もありますけど、ベトナムでの生活を全力で楽しもうと思います」そう語るNさんの表情は、とても晴れやかでした。
アインさんのアインのベトナム語
最後に、Nさんにベトナム語の学習について伺ってみました。
「語学系アプリやGoogle翻訳のベトナム語の音声と、教室で習うベトナム語南部弁の発音が全然違うので、最初はすごく戸惑いました。しかも、僕の彼の名前がアイン(Anh)じゃないですか。なので、自分のことをアインって呼ばなきゃいけないと説明された時は、本当に頭がこんがらがりました。『え、この「アイン」って僕?それとも彼?』って(笑)」
声調や発音の難しさには苦労しつつも、Nさんは「焦らず、マイペースにやっていくつもりです」と笑顔で語ってくれました。
文化の違いも、言語の壁も、すべては「好きな人やその家族と楽しく暮らすため」の挑戦です。2026年4月から新しい人生をホーチミンでスタートさせるNさんを、私たちはサポートし続けます。
